ベルリンで出会った音楽家たち
この日の残されている手紙は、いきなりクロイツァー教授の話となっています。文章の流れからもう一枚あったのでは?と思いますが、古い話です。散逸してしまったのかもしれません。長い年月が経っているので、仕方がないです。 レオニード・クロイツァー ja.…
「日本の欠点としては先生は真に偉くなり過ぎるのが、大変に悪いことでこれがそもそもの進歩を妨げることとなり、従って生徒の上達ということにも非常なる影響を及ぼします。(こんなことは日本の方には大きな声で話すべきものではありません。全くに秘密で…
〇御通信は全部落手。こちらのも全部着く由。まず安心。無理をせぬよう注意しておりますから、ご安心を。事件は当分様子を見ます。 〇景色の良い所は一度でも見せたいと思います。本当の音楽もせめて出来るならばと希望する程です。日本ではとても悲しいかな…
「クロイツァー先生のトリオは音楽会シーズンの最初のもので、初めてベルリンに来て音楽会らしい良い気分に浸ることが出来ました。到着当時、ラモント氏の演奏を聴きましたが、こちらが未だ慣れないせいかあまり面白く聴くことが出来なかったのは遺憾でした…
10月13日付けに同封されていたチケットの半券の数々。 ①1928年10月4日 フィルハーモニーホール エミール・フォン・ザウアー 曲目不明。 ですが、10月3日付けの手紙でこのコンサートのチケットのことが言及されていました。規矩士は 「黄色のはザウアー氏ピア…
①1928年10月13日午後8時開演 ベートーヴェンザール バッハとリストの夕べ ピアノ:アレクサンダー・ボロフスキー(1889-1968) Alexander Borovsky - Wikipedia (日本語のものはありません) こちらのCDの紹介にかなり詳しい経歴があります。 sakuraphon.net …
「フィルハーモニーはベルリンの好楽家からはあまりその建物が古臭いとて良く言われませんが、私の聴いた所では決してそうではないと思いました。何程最下席になると随分横のうしろの方なので、「あれでは」とうなずかれますが、最下席の一つ上等から正面に…
かかる立派な会の(中の人注:ラフマニノフだのフルトヴェングラー指揮だのというビッグネームのコンサートのこと)以外に日曜の夜7時半から民衆音楽会があります。 これはやはりフィルハーモニーのメンバーですが、指揮者が普通の人なので、入場料もずっと…
先日はブルーノ・ワルター氏コンダクター(中の人注:指揮者)のオーケストラを聴きましたが、(勿論日曜日の午前11時半から1時半までの総練習)この日のは合唱付きと言うので大変な人でした。総練習をする音楽会は大抵よろしいので、従って入場料も高くなっ…
ティンパニ(普通鉄太鼓などと称しています)も2組あって(つまり4個並べられます)それが同時に叩かれますから全く気持ちが良く、時にはティンパニだけのソロがあったりして実に愉快です。内地ではよく高折氏(中の人注:高折宮次氏のこと。東京音楽学校ピ…
合唱付きのオーケストラには、かなり多くの人が出演しました。女声合唱にドームの子どもの合唱が加わり、近頃には珍しい面白いものでした。合唱人数は全体で250人位だったと思います。それに大勢のオーケストラが伴うのですから、その賑やかなこと、さしもの…
「オーケストラの感じ、音の具合等、筆ではちょっと言えませんから、いずれ帰国次第に詳しく申し上げることにして、ここでは目に見えたことをお話しすることにします。 総練習の時はオーケストラの部員の服装は通常服で、これは上野と変わりません。先日の合…
何もわからない我が同胞諸君の中でのある人があの8つのコントラバスを聴いてすっかり感心してしまい、 「まるで飛行機のプロペラがうなっている様だ」と申されました。 全くその通りです。うなると言うのが本当に当たっています。普通に鳴るのではなく、その…
ラフマニノフ氏の独奏会は8日の金曜日、フィルハーモニーで開かれました。 この日は時間の都合で少し遅くなりましたので、自動車で飛ばしましたが、良い具合に間に合いました。(自動車についてはまた面白いことがありますが、紙面の都合でお預かりとします…
(中の人注:ラフマニノフの演奏会の曲目について。) 今、左に記すとまず第一が バッハ-ブゾーニ:Zwei Orgelchoral-vorspiele 【Bach-Busoni - The Complete Nine Chorale Preludes】 www.youtube.com (中の人注:バッハーブゾーニ:9つのコラール前奏曲…
投稿110,111のラフマニノフの演奏を聴いた感想の続きがこの手紙のようです。 「ショパンのファンタジーf-mollはこちらではいろいろの人が演奏します。クロイツァー先生も時々弾かれるので、深く印象しております。ラフマニノフ氏の演奏を聴いて、何程良いと…
(いよいよラフマニノフとフルトヴェングラーの感想ですよ!) ラフマニノフ氏のコンチェルトd-mollは最近に内地でシャピロ氏が演奏されたようですが、自作自演のコンチェルトはとても話以上で、私もベルリンに来て初めてコンチェルトで感動したのはこの時で…
残念なことは、こんなに良いものでも日本人で「是非聴こう」と言うものは音楽家以外にまあほとんどないと見てよろしいでしょう。ベルリンにも相当日本人はおりますが、いつもいつも今少し趣味があってよかりそうなものと思っています。中にはお誘いをしても…
(この稿はピアニスト・ピアノ研究家の松原聡様にご教示いただきました。松原様ありがとうございました。) 規矩士は1928年11月8日(9日かもしれない。残されていたチケットは9日と書いてある。日にちが違うのは規矩士の勘違いかもしれない)にラフマニノフ…
4.井口君が病気とは驚きました。未だ何とも通知がありませんが、こちらからお見舞いしましょう。 5.豊増君も勉強と聞いて安心しました。 42.豊増氏にもそのうちに出します。受験法がさだめしうるさいでしょう。自分の果たせることはやってあげておいて…
3.真善美、なるほどその通りです。けれども世の中は自分が思う通りに行くと思うと間違いです。そう簡単には行きません。すべての人が真善美を心得てくれるならば、世の中は全く都合が良いのですが、そこが世の中でなかなかそうはなりません。ハエゼン女史…
チケットの半券が複数の手紙に同封されていました。しかし日にちなどがかなりごちゃごちゃになっていて、同じコンサートのものが別の封筒に入っていたりしているようです。几帳面と伝えられ、実際に「几帳面だった」と思われる規矩士。割と揃えて送っていた…
1928年11月1日(木)開始時間不明 フィルハーモニーホール ピアノ:モーリツ・ローゼンタール(1862ー1946) 曲目不明 ポーランド出身のピアニスト。ショパンの弟子だったカロル・ミクリと、リストに師事。超絶技巧かつ詩情豊かな演奏をした。 www.youtube.co…
4.今年度の新しい留学生の御方が来られたならば、大いにお世話をしてあげましょう。音楽学校では誰でしょうか?早く決まればその御方に御便利をお計りしたいのですが。 (中の人ツッコミ) 規矩士先生、次にいらっしゃるのは規矩士先生と親しい方ですよ。お…
1928年11月11日は昼間はフルトヴェングラー指揮ベルリンフィルのゲネプロを聴きに行き、夜は弦楽四重奏団を聴きに行ったようです。はしごをしました。 1928年11月11日(日)午前11時30分 フィルハーモニーホール フルトヴェングラー指揮ベルリンフィルハーモ…
どれもこれも良いものばかりで何から話して良いか困ります。 日本でお馴染みのジル=マルシェクス氏をベヒシュタインザール(ここではあまり良い人はやられません)で聴きましたが、ベルリンではどうも他に沢山に良い人があるので、日本で感じた程ピンときま…
ベルリンの演奏会場には内地のようにおちついたものは一つもないので、いつもそれだけが欠点だと思っています。場所はとても大きくて立派ですが、少しも落ち着きがありません。というのはステージの構造が違うからにもよりましょうが、あまりにごちゃごちゃ…
(この記事はピアニスト・ピアノ研究家の松原聡様にご教示いただきました。松原様ありがとうございました。) 規矩士がよく出かけるコンサートホールはどこだろう? 本人が書いたものによると、フィルハーモニーホール、ベルリンジングアカデミー、ベートー…
1928年11月23日(金)午後8時開演 ベートーヴェンザール ジョゼフ・レヴィーン(1874ー 1944)(10月31日と同じ演奏者) ウクライナ出身。モスクワ音楽院卒業。同級生にスクリャービンとラフマニノフがいた。1898年に同じモスクワ音楽院出身のピアニスト、ロ…
1928年11月24日(土)午後8時開演 ジングアカデミーホール ミヒャエル・タウベ指揮室内楽オーケストラ ヴィオラ・ダ・モーレ:パウル・ヒンデミット(!!) (中の人ツッコミ) 何ですって!ヒンデミットですか?スゴイ! パウル・ヒンデミット(1895-1963)…