前書き・余談・補遺

1.前書き

元東京音楽学校ピアノ科教授、田中規矩士は1928年3月から1930年5月まで、文部省派遣官費留学生として、ドイツ国ベルリンに留学をしました。 ピアノはレオニード・クロイツァーに師事。 約2年間の留学でした。 こちらの資料に田中規矩士が文部省在外研究員と…

59 (番外編)ベルリンリンク集1.

今まで貼ったベルリン関連のリンク集を作りました。新しく発見したものもあります。 1927年のベルリンの映像にAIでカラー化したもの。 【Berlin - Symphonie einer Großstadt (1927) | von Walther Ruttmann】 www.youtube.com 【Berlin Berlin - German Doc…

60 (番外編)ベルリンリンク集2

(ベルリンリンク集続き) 規矩士はどうも脂っこいドイツ料理は苦手のようです。 「あまり胃腸が丈夫ではなかった」と伝えられる規矩士、手紙に「ドイツ料理に飽きました」ということを多く書いています。 ベルリン地域では「アイスバイン」という豚のすね肉…

69.(余談)規矩士ベルリンでの友「原田教授」まとめ

(この記事は後に追記が多くなる可能性があります。2023年11月8日現在わかっていることを書きます) 田中旧宅に以下のような写真が残されていました。 写真表 写真裏 昭和4年7月5日帰朝 サイベリア丸 上田繭糸専門学校 原田親雄 東京音楽学校の関係者でも…

91.昭和3年10月13日9 同封されていたチケットの半券たち1(ザウアー、オルロフ、ベルリンフィル、バロコヴィッチ)

10月13日付けに同封されていたチケットの半券の数々。 ①1928年10月4日 フィルハーモニーホール エミール・フォン・ザウアー 曲目不明。 ですが、10月3日付けの手紙でこのコンサートのチケットのことが言及されていました。規矩士は 「黄色のはザウアー氏ピア…

92.昭和3年10月13日9 同封されていたチケットの半券たち2 (ボロフスキー、スレザーク、バロコヴィッチ)

①1928年10月13日午後8時開演 ベートーヴェンザール バッハとリストの夕べ ピアノ:アレクサンダー・ボロフスキー(1889-1968) Alexander Borovsky - Wikipedia (日本語のものはありません) こちらのCDの紹介にかなり詳しい経歴があります。 sakuraphon.net …

117.昭和3年12月2日2 ラフマニノフとフルトヴェングラーとベルリンフィル!!

(いよいよラフマニノフとフルトヴェングラーの感想ですよ!) ラフマニノフ氏のコンチェルトd-mollは最近に内地でシャピロ氏が演奏されたようですが、自作自演のコンチェルトはとても話以上で、私もベルリンに来て初めてコンチェルトで感動したのはこの時で…

119.(余談)規矩士が聴いたラフマニノフ

(この稿はピアニスト・ピアノ研究家の松原聡様にご教示いただきました。松原様ありがとうございました。) 規矩士は1928年11月8日(9日かもしれない。残されていたチケットは9日と書いてある。日にちが違うのは規矩士の勘違いかもしれない)にラフマニノフ…

128.(余談)チケットの半券たち1 ヴェチェイ、ウンガー、パウアー、フォイアマン、タウベ(オネゲルを聴く)、ベアトラム(バートラム)、レヴィーン

チケットの半券が複数の手紙に同封されていました。しかし日にちなどがかなりごちゃごちゃになっていて、同じコンサートのものが別の封筒に入っていたりしているようです。几帳面と伝えられ、実際に「几帳面だった」と思われる規矩士。割と揃えて送っていた…

129.(余談)チケットの半券たち2 ローゼンタール、E・フィッシャー、パウアー、ブルーメン、ヴェチェイ、アゴスティ、マイラ・ヘス

1928年11月1日(木)開始時間不明 フィルハーモニーホール ピアノ:モーリツ・ローゼンタール(1862ー1946) 曲目不明 ポーランド出身のピアニスト。ショパンの弟子だったカロル・ミクリと、リストに師事。超絶技巧かつ詩情豊かな演奏をした。 www.youtube.co…

134.(余談)チケットの半券たち3 フルトヴェングラー、ベルリンフィル、グァルネリクァルテット、ローゼンタール、マーラーの交響曲第1番を聴いた、ピアノトリオ(クロイツァー、ヴォルフスタール、フォイアマン)、ジル=マルシェクス

1928年11月11日は昼間はフルトヴェングラー指揮ベルリンフィルのゲネプロを聴きに行き、夜は弦楽四重奏団を聴きに行ったようです。はしごをしました。 1928年11月11日(日)午前11時30分 フィルハーモニーホール フルトヴェングラー指揮ベルリンフィルハーモ…

137.(余談) ベルリンの演奏会場について2 ベルリンジングアカデミーホール編 階段状のステージ

(この記事はピアニスト・ピアノ研究家の松原聡様にご教示いただきました。松原様ありがとうございました。) 規矩士がよく出かけるコンサートホールはどこだろう? 本人が書いたものによると、フィルハーモニーホール、ベルリンジングアカデミー、ベートー…

138.(余談)チケットの半券たち4 ジョゼフ・レヴィーン

1928年11月23日(金)午後8時開演 ベートーヴェンザール ジョゼフ・レヴィーン(1874ー 1944)(10月31日と同じ演奏者) ウクライナ出身。モスクワ音楽院卒業。同級生にスクリャービンとラフマニノフがいた。1898年に同じモスクワ音楽院出身のピアニスト、ロ…

139.(余談)チケットの半券たち5 ヒンデミットを聴きに行く!

1928年11月24日(土)午後8時開演 ジングアカデミーホール ミヒャエル・タウベ指揮室内楽オーケストラ ヴィオラ・ダ・モーレ:パウル・ヒンデミット(!!) (中の人ツッコミ) 何ですって!ヒンデミットですか?スゴイ! パウル・ヒンデミット(1895-1963)…

140.昭和4年1月27日3 クライスラーとフルトヴェングラーのコンサートに行く

「なお、先日は久しぶりでクライスラー氏の演奏をフィルハーモニーホールで聴きました。いずれプログラムをお目にかけますが、なかなか素晴らしいものでした。ブラームスのヴァイオリンコンチェルト(中の人注:ブラームス作曲ヴァイオリン協奏曲Op.77) で、…

153.(余談)チケットの半券たち6 イグナーツ・フリードマン、リュブカ・コレッサ、ブルーノ・ワルター指揮おそらくベルリンフィル、ベヒシュタインピアノ2台によるコンサート(ヴィルヘルム・グロシュ&ワルター・カウフマン)

1928年11月30日(金) 午後8時開演 ベートーヴェンザール ピアノリサイタル イグナーツ・フリードマン(1882ー1948) ポーランド出身。クラクフでピアノを学び、神童と称される。レシェティツキーに師事し、ウィーンでデビュー。この当時「至高のヴィルトゥオ…

154.(余談)1926年の東京。1927年のベルリン。

以前【ベルリンリンク集】でご紹介をした【Aiカラー化 大正時代の東京の映像に色をつけてみた】という動画の全編がYouTubeにアップされました。(2024年3月8日公開) 【『公衆作法 東京見物』1926年|「フィルムは記録する」より ‘Films is a Document: NFAJ…

155.(余談)チケットの半券たち7 ヴィ―マンス、パウアー、ヴェンデル指揮ベルリンフィル、ザウアー、シュスター、ボルク、レーナー弦楽四重奏団

1928年12月10日(月)午後8時開演 ベートーヴェンザール ピアノリサイタル フランツ・ヴィ―マンス 曲目不明。 このピアニストのことがわかりません。どなたかご存じでしたらご教示ください。どうぞよろしくお願いいたします。 この日はおかしな行動をしてい…

159.(余談)チケットの半券たち8 ザウアー、ペトリ、ハンブルグなど

(12月15日の演奏会以降のチケットの半券が見当たりません。何らかの演奏会には出かけていると思うのですが。見当たったら追記していきます。) 1929年1月3日 午後8時開演 フィルハーモニーホール ピアノ:エミール・フォン・ザウアー(1862 ー1942) ドイツ…

160.(余談)チケットの半券たち9 バックハウス!(規矩士のバックハウス評)

1929年1月19日 午後8時開演 ベートーヴェンザール ベートーヴェンの夕べ ピアノ:ヴィルヘルム・バックハウス (1884ー 1969) 曲目不明 「鍵盤の獅子王」と言われたあのバックハウスの演奏会です! ドイツ、ライプツィヒ出身。ピアノは母が手ほどきして、ラ…

161.(余談)チケットの半券たち10 フリードマン、ワルター指揮、タウベ指揮室内管弦楽団、レーナー弦楽四重奏団、ミロヴィッチ (ユダヤ出自の音楽家たち)

1929年1月20日(日)時間不明 場所不明 フィルハーモニーコンサート 1929年1月24日(木)午後8時開演 フィルハーモニーホール ピアノ:イグナツ・フリードマン(1882ー1948) 曲目不明 規矩士は1928年11月30日の演奏会にも出かけているようである。 ポーラン…

170.(余談)チケットの半券たち11 ラート、バックハウス、コレッサなど。

1929年1月10日 午後8時開演 フィルハーモニーホール (このコンサートの半券が出て来たので、こちらに追記します) ベートーヴェンの夕べ。 リヒャルト・ラート(1885-1980)指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 リヒャルト・ラート ウィーン出身。1920年…

171.(余談)チケットの半券たち12  26歳のホロヴィッツを聴く! 

1929年2月8日 午後8時開演 ベートーヴェンザール ピアノの夕べ ウラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989) 曲目不明 20世紀を代表するスターピアニスト。 旧ロシア帝国(現在はウクライナ)のキーウ(キエフ)出身。 アマチュアピアニストであった母の手…

176.(余談)ピアニスト「久野久」のこと 久野久さんは磯部温泉で湯治をする。

(この投稿は「久野久」「久野久子」と名前を統一しませんでした。彼女の本名は久野久のようですが、本、Webサイトなどでも統一されていないようです。他の人の名前についても大正時代、本名に「子」とついていなくても○○子と名乗るのはあるあるだったように…

189.昭和4年4月14日9すみ様9 「アンピコをお聴きください」

14.どなたかアンピコ(中の人注:なんのことかわからない)をお持ちとのこと、たくさんにお聴きください。私も帰ったならば聴かせていただきましょう。 (中の人ツッコミ) アンピコって何?中の人はわからないです。しかし音楽雑誌「ショパン2024年6月号」…

190.昭和4年4月14日9すみ様10 ピアノロール「アンピコ」

(この記事はピアニスト・ピアノ研究家の松原聡様のご教示で作りました。松原様、ありがとうございました。) 189.で、ピアノロール「アンピコ」のことがわかりました。 ピアノロールは1925年(大正14年)ごろのレコード録音技術の発展で、衰退してしまいま…