昭和4年3月
受験生佐藤氏についていろいろお世話下され、ありがとうございました。今年はとても難しいので、なお引き続いて来年も受けられるようお話しはしておきましたが、受験の結果(?漢字が読み取れない)はいかがですか。駄目のものならばそのように話しますが、…
(この「すみ様」も編集をしてあります。) すみ子様(3月23日) 1.朝日新聞を嬉しく拝見しています。 2.「時の声」も拝読しました。アルコールの気持ちが私にはわかりませんので、何程そんなものかと有益に存じました。アルコールを使用せぬ者は一々珍…
18.クロイツァー先生のお誕生日には別にお祝物を差し上げません。他の方もそうしていますから。クリスマスの時だけで良いとの事です。 10.ベルリンでも毎日の稽古がやかましいので、ブルブル、ドキドキ、ワクワク、ふらふらで、済んだ後はペシャンとします…
12.やっと雪景色がなくなりました。急に暖かくなり、一度に溶けたので。けれどもまた降るかもしれません。いつも身体には注意していますからご安心ください。 ベルリンでもこの猛寒には全くまいりました。来年に再びこうなら、一寸心配になります。2月以前…
9.試験も近づいたよう。こちらにいてつくづく思い出します。送別会やら旅行、卒業式。3月はやはり気が締まります。 21.土曜会のプログラムを拝見しました。本二(中の人注:本科2年のこと)演奏会みたようです。大成功だったでしょう。出演諸君方によろし…
(この投稿は「久野久」「久野久子」と名前を統一しませんでした。彼女の本名は久野久のようですが、本、Webサイトなどでも統一されていないようです。他の人の名前についても大正時代、本名に「子」とついていなくても○○子と名乗るのはあるあるだったように…
3月27日 久しぶりにクロイツァー先生の独奏会を聴きました。 先生の奏法は全く独特でしょう。殊に音色の点では何人の追従を許しません。毎日お稽古をしていただいても、その妙音の出しかたはわかりません。コハンスキー先生、笈田氏、高折氏、いずれの方にの…
(続き) (クロイツァー)先生の演奏には無理がないのです。某氏大家の言われる通り、自然そのものです。ただ、大家になると我々共のような演奏法とは違ってある特別なる拍子の自由ということに重きを置かれますから、どうかすると思いもよらないところに拍…
(続き) 話は逸れましたが、また、ピアノの続きで、今一つ感じた事は、大曲の全体の統一という事。これは先生ばかりではなく、誰にしてもなかなか難しいことでしょう。 しかし先生はあのカーナバルの(中の人注:シューマン作曲謝肉祭Op.9)大曲をあたかも…
(続き) 自分などは悲しいかな、芸術家としての必要条件が何一つなく、全く恥ずかしくなります。技術は勿論のこと、人格はゼロときているので、これからも将来が恐ろしくなります。いくら飾ってもゼロはゼロですから、最早何事も断念したくなります。仕方が…