174.昭和4年3月23日4 すみ様4「ベルリンにもやっと春が来た」「切手収集が流行しています」

12.やっと雪景色がなくなりました。急に暖かくなり、一度に溶けたので。けれどもまた降るかもしれません。いつも身体には注意していますからご安心ください。

ベルリンでもこの猛寒には全くまいりました。来年に再びこうなら、一寸心配になります。2月以前は寒くてもそんなではなかったのですが、どかりと谷底に落ちたようで、とても驚きました。これだとするとベルリンはもういやになります。大抵の方にも同様のことを言っておられました。多分今年だけと思いますが、あるいは来年も続くかもしれぬという人があるので、少し弱っています。

運動不足による消化不良が起こるので、これが一番恐ろしいのです。

まるで終日閉め切りの室にいるのでは、いかに健康の人でもたまったものではありません。室内もその割に暖かくなく、大抵はブルブルしていますから、病弱の人は一も二もなくやられてしまいます。薄暗い、どんよりした空で、室の中がそうですから、どんな様子か一寸想像してください。この時などは全く内地に帰りたくなります。

暑いことは暑いですけれども、白服が要りませんので、そんなにいやではありません。ベルリンの夏は内地の6月ごろの気候でしょう。

27.春が本当に訪れて、郊外散歩のころになりました。押し花の御注文には少し早いですが、いずれ何か送りましょう。」

(中の人ツッコミ)

寒かったベルリンにも3月になって春めいてきたようです。

とはいえ2月は本当に寒かったらしく、「来年の2月はどうだろう?」と早くも心配の虫が出てきているようです。

 

 

「4.珍しい切手は子ども等が非常に喜んでくれます。

25.珍しい切手は子どもばかりでなく、大人までがとても欲しがりますので、平均に分けてやります。切手熱はなかなかたいしたものです。中には珍しいので、これは日本のか?と聞くのもあります。大使館の手紙を(漢字が読み取れない。分けると言いたいのか?)小使いもとても珍しがって、こんなのは未だ見たことがないと言って、どうか出来るものなら1枚頂かせてとあまり熱望するので、時にこれにも分けてやります。数多い郵便物の中で、私宛に送られるものが全く特別ですと大使館の小使いが言っています。どうしてあんなに以前のものがお有りでしたか。大使館では珍しい切手の新聞として、有名になりました。私が取りに行くと先方ではもはやちゃんと心得でいます。御母上様のそれほどまでに以前に御集めくださいましたご厚意をベルリンの大人、子ども等に代わりまして厚く御礼いたします。なにとぞよろしくお伝えください。」

(中の人ツッコミ)

切手収集が流行っているようです。この切手収集は子どもだけでなく、大人の間でも流行っているようです。

切手は1840年にイギリスで発行されたのが最初だそうです。すぐに「切手を収集する」というコレクターが現れたようです。

今でも世界中に「切手コレクター」がいるんだそうです。

ドイツでは珍しい日本の切手は、規矩士の周りのドイツ人には羨望のまなざしで見られていたのですね。

どうやら婚約者すみこの母が、いろいろな切手を持っているのか、どこかで手に入れて送っているようです。

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