156.昭和4年2月11日3 すみ様1(雑談)

(この「すみ様」は比較的話題がまとまっているように思いますので、順番に出します。この番号は元の手紙にはありません。)

すみ様(2月11日)

1.松屋からの下着のお返事を出したつもりでつい失礼しました。いろいろの通信をいたしましたため、甚だ相済みませんでした。

2.郵便物は皆、到着しますからご安心を。

3.霊は私を良く守ってくれます。私の家の者ばかりではありません。我が日本という大きな霊が私に偉大な力を与えてくれます。只今はホームシック等そんな暇はありません。霊についてはよく私がこれを書きますと、読んでくださる人から不思議に感ぜられることです。やはりこれも霊ですかな。時にいろいろの人々が自分の目の前に浮かんでくることもあります。

4.御姉上様の御結婚につきましては心から嬉しく存じます。さだめし皆様も御満足のことでしょう。結婚は人生の最後の花とか言いますから、あるいは考えようによっては涙も出ましょうが、考え直しては人生の貴き第一歩ともなりますので、涙などあるべき等がないのに、そこはやはり人情の美しさ、涙が当然でしょう。

5.御父上様の御写真を何度も拝見いたしました。いつも見事に撮れてなられるので、頭の云々は決してありませんから、御心配なく。人間はむしろ頭の云々に却って神々しいものです。それがつまり人間の光りと言うものです。その光に来なければ駄目です。病的の光は問題にはなりませんが。

6.メダルを有難く。御礼します。

7.過日はなおお菓子を頂戴いたしたそうな。絵葉書やら何やらいろいろのものを。いつもいつも感謝しています。

8.ベルリンからの御礼がついつい出しそこなったり、二度重なったり、いろいろになることをお許しください。うんと注意しているのですが。手紙がたくさんにあるので、いつも失礼しています。何卒御母上様にもどうかよろしくご伝言を願います。遠いところにいるとどうも失敗だらけですから、帰ったら(漢字が読み取れない)めてそろ御礼をいたさなければなりません。当分はなかなか失礼が多いことと思いますから、ご承知おきください。

9.御姉上様にもどうかよろしくお伝えを。

10.罰金10銭也はなかなか厳しいことですが、私ならばいくら出しましても出しきれなくなるでしょう。私一人で箱の中にたくさん入れてしまうかもしれません。

11.つい多忙の折は通信を失礼します。各ことも書いたつもりで平気でいることがありますから、そんな時は何度も注意してください。例えば何々はどうしたかと言う風に聞いてくださることを希望します。

12.ハガキなり手紙は一面には健康であることを意味しますから、書く他(漢字が読み取れない)別として必ず御送りすることにしています。通信をもらった所にはいつも丈夫でいることを想像して嬉しく思います。通信のない時は「もしや」と思い、心配することが度々あるとのことですから、こちらからは必ず日を限って御送りすることを予めお知らせします。

(中の人ツッコミ)

婚約者黒澤すみさんへのお返事です。とりとめのないことを書き綴っています。すみさんの姉が結婚するようですね。